いやー、大変でした。今回、宇河玲史(55歳)役をやりました、なべたです。観に来て頂いた方(本当にありがとうございます!)はご存知の通り、上演時間2時間10分の内、15分位しか出演していないのですが、主人公兄弟のお父さんとお母さんを轢き逃げしてしまい(劇中のお話ですから、僕は、大丈夫です!)ました。
そして、なんてこった。8年後、自分の娘が、轢き逃げしてしまった弟さんの方を好いてしまっている(この設定は劇中で語られますが、玲史は知らなかった感じで演じていました。)じゃありませんか・・・。
そして僕の方は、轢き逃げして、まあ、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていたんでしょう、もしくは罰が当たったのでしょう。くも膜下出血で倒れて、脳内に脳脊髄液がたまる水頭症になって4ヶ月ほど意識不明でした。
そして、手術が成功し、九死に一生を得て目を覚ましたら、娘から『お父さんが轢き逃げした息子さんたちが会ってお話したいって』(このシーンはありませんでした。あったら、大変重たいしんどい稽古が必要だったでしょう。一応、自分の心の中では自分で脚本作ってイメトレしていました。)と言われる人生。とんでもない設定考えるなぁ、『空降る飴玉社』の加藤さんは。ちょっと団体名のかわいさにダマされた!と思いました。
そして、ラストシーン。轢き逃げしたご両親の息子さん達と、僕と娘は、僕が入院している病室で会いました。
きつかった。殺される・・という恐怖心と、あの時救護義務を果たさなかった、逃げてしまった自分に対する怒り自己嫌悪と、自分の周りの方々への懺悔の気持ちと、そういう感情が自分の中で引っ張り合っていて、短い時間ですが、消耗しました。
今までで自分的には一番の、頭下げての謝罪を行いました。謝罪の稽古はたくさんしたので、ちょっと人としてのレベルが一つ上がった、かな。
でも、実生活では、仕事でもなんでも、最初、なんかやっちまったら、最初に謝罪した方が絶対にいいです。隠そうとしたり、保身は相手に秒で伝わりますから。即謝罪が、相手の為にも、自分の為にもなるし、逆に信用が高まり逆に物事がスムーズに進むことだってある。
そして、謝罪を受けた主人公の辰一の息を吐き出す音が静かに病室に響、終演。
足を運んで頂いた皆さま、このブログで少しでも今回の舞台の雰囲気を感じてくださった皆さま、ありがとうございました。今後とも、今回僕が出演させて頂いた『空降る飴玉社』さん、脚本・演出の『加藤薫』さんをよろしくお願い致します。